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    1.主人公の父紹介〜3.かわった子たち

    • 2014.10.18 Saturday
    • 23:09
    JUGEMテーマ:古典文学

    1.主人公の父紹介〜2.母と子たち

    むかしむかしあるところに、容貌も才能も性格も、他人からの評判も人並み外れて優れた人がいました。
    彼は左大臣まで出世して、何一つ不満のなさそうな順風満帆な人生を送っているように見えましたが、実は他人には分からない悩み事をずっと抱えていたといいます。

    左大臣には2人の妻がいました。
    1人目の妻は源宰相という人の娘で、そこまで愛情が深いわけではありませんでしたが、最初の妻だという事もあり、おろそかにせず夫婦として暮らしていたら、世にも稀なたいそう美しい男の子が生まれました。2人目の妻は藤中納言という人の娘で、こちらにはとても愛らしい女の子が生まれました。

    2人の妻ともそれほど美人ではないので、左大臣は正直物­りなく思っていたのですが、子供が生まれると何しろこの2人の兄妹があまりにも愛らしく成長するものだから、2人の妻とも縁は切れないなぁ、と今は夫婦関係もそれなりに落ち着いているようです。

    この2人の兄妹はどちらも容貌が美しいだけでなく、全く同じ顔で取り違えてしまうのではと思えるほど似ていたので、もし同じ母親から生まれていたら具合は悪かったと思いますが、母親が違うために別々の場所で育てられたのはむしろ好都合だったかもしれません。

    とてもよく似ている顔ではあるものの、兄の方は上品で匂い立つような高貴さと優美さがありました。妹の方は華やかで元気に満ちて、積極的に周囲に愛嬌を振りまくかわいらしい様子は、幼い頃から只者ではないと思わせるものがありました。

    【解説とツッコミ】
    まず解説しておくと、この「左大臣」という名前の父親は最初は左大臣ではなく「権大納言で大将を兼務していた方」、略して「大納言」と呼ばれていて、その後出世して左大臣になります。これ日本の古典の悪い習慣で、当時は個人名じゃなくて肩書きで人を呼ぶんですね。なので、出世するたびに同じ人の名前が変わり、ややこしい事この上ない。

    このブログは忠実な現代語訳ではなく読みやすさを優先したリミックスですので、最初から左大臣で呼び名を統一しています。もし今後原文を読む機会がありましたらその点をご注意ください。

    さて、この兄と妹。顔はそっくりですが二人は母親が違うんですね。だから兄妹だけど別々の家で育つんです。ですので2人は最初はあまり面識が無い状態から始まり、苦難を乗り越えるうちに徐々に兄妹の絆を強くしていきます。この兄妹愛もこの物語の一つの見所です。



    3.かわった子たち

    2人が成長するにつれ、兄の方は呆れるほど人見知りがひどくなってきました。家で働く侍女ですら見慣れない人には顔を見せようとせず、父の左大臣に会うのも恥ずかしいと思うほどです。また男子の教養である漢文を学ばせようとしても、そういう事には全く興味が無い様子でした。

    とにかく人に会うのを恥ずかしがり、几帳の陰に隠れては絵を描いたり人形遊びをしたり、女の子の遊びばかりしているので、父の左大臣は情けないといつも叱るのですが、最後には泣いてしまうのでどうしようもなく、ただ母や乳母や小さい侍童などとしか会おうとしません。

    それだけでも親としては十分大きな悩みの種ですが、逆に妹の方ときたら、こっちは幼い頃からとてもイタズラ好きで、めったに部屋の中にはおらず、外で若い男や子供たちと、鞠や小弓などで遊んでばかりいます。

    大勢の来客が来て、漢詩を作ったり笛を吹いたり和歌を詠んだりする時も妹は遠慮せず走り出てきて、誰も教えてもいないのに琴や笛を一緒に上手に演奏したりします。

    それを見ていた来客たちは、妹の賢さをほめたり笛を教えてあげたりしながら「こちらの奥さんの子が女だと聞いてたけど、多分それは勘違いだったんだろうな、これは」などと皆でうなずき合うのでした。

    それでもまだ、父の左大臣がいる時はそういった振る舞いを隠しておとなしくしているのですが、来客が来ると、左大臣が奥で着替えをしている隙にサッと走り出てきては全く人見知りせずに遊ぶのです。
    そんな状態なので、他人はもう妹の方が男の子だと思い込んで面白がってかわいがり、親ももう、諦めてそう勘違いさせたまま訂正もしないようになりました。でも心中はとても情けなく、ひたすら「あぁ、この兄と妹を取り替えられたらなぁ」とお悩みなのでした。

    【解説とツッコミ】
    この辺りの描写なんだけど、男女が逆転して育てられるという、到底ありえないシチュエーションができるだけ不自然にならないよう、兄妹の性格と状況の設定が細かいところまでとても綿密に工夫されているので、ホントにこれ平安時代の小説?と驚きです。

    まず兄妹の顔がとてもそっくりである事と、妹の方は毎回来客から男の子と間違えられるものだから、親ももう慣れっこになって、全然不思議に思わなくなってきているし、もはやいちいち訂正もしなくなっている、という状況設定は、「それなら現実世界でもひょっとしたらあり得るかもしれないなぁ」と思い込ませる説得力があります。

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