スポンサーサイト

  • 2016.04.30 Saturday

一定期間更新がないため広告を表示しています

  • 0
    • -
    • -
    • -

    97.吉野山へ〜98.宇治の家

    • 2015.02.27 Friday
    • 23:56
    JUGEMテーマ:古典文学

    97.吉野山へ

    6月頃の夜更けの月のもと、ごく親しい乳母の子たち3人と、そのお供として何事にも疑問を持たないような低い身分の者達や頼もしげな武士など7〜8人ほどを連れて光君はご出発になります。

    たいそう上品で、今までは母屋から外にさえお出にならなかった人が、軽装で、旅にふさわしく装束を着けてお出になるのを、見送りしている全ての人たちは仰天して見ています。
    本来なら旅立ちの際には盛大に見送りをしなければ縁起が悪いところですが、前もって光君がお命じになっていた通りに、光君がいた時と同じように人々は振る舞っているので、事情を知る人はいません。

    光君はこうして出発したものの、どこと目指して行くあてもありませんでしたが、供をしている乳母の子が

    「薫君は、吉野山におられる宮さまのお住まいに行き通いなさいまして、そこを最終の住み家とお約束されていたそうです。ですから吉野山の宮のところにおられるのではないでしょうか」と言います。

    「なるほどそうだろう。だいたい、人が大騒ぎして探し求めていると自分からは名乗り出にくいものだから、それで一向に見つからないのだろう」と判断して、そちらを目指して行かれます。

    【解説とツッコミ】
    さて、決意の出発をしたはいいものの、一体どこに行けばいいものやら。
    とりあえずは吉野山の宮のところへ行ってみよう。



    98.宇治の家

    日中はたいそう暑いので、宇治川を舟で渡った後に、光君がその辺にある大きな木陰で川面に近いところに立ち寄って涼んでおられると、川近くに風雅な景色の場所がありました。

    このような場所は今まで見た事もなかったので、光君は興味をお持ちになって歩み入ってご覧になりますが、遠くの建物から読経の声がするばかりで、全く人影がありません。

    光君は「風雅な所だなぁ」とお思いになって、小柴垣のある建物にお立ち寄りになると、すだれが巻き上げてあったので「人がいたのだ」とびっくりしました。
    落ち着いて見てみると、そこは建物の前に水が八方に流れている絵に描いたような庭で、よい具合に簾を巻き上げてあざやかな色の几帳が掛けてあります。そこに十四五歳ほどの美しい女童が二藍色の単衣の服を着て、紅色の袴を形良く履きこなし、帯をゆったりと締めて家の女主人を団扇であおいでいるようです。

    几帳越しに透けて見える女主人をじっと注目して見ると、紅色の織物の単衣の服に同じ色の生絹の袴を着けているようです。たいそう悩ましげに物思いにふけって伏せた顔の色艶は、華やかに光るように輝いていて、額髪がはらりとかかっている様子などは、絵に描いたようです。

    女主人はじっとしていてもあふれる愛嬌があり、かわいらしい顔立ちが見たくなるほどです。つい妬ましくなってしまうような、際立って利発そうな目つきに、光君が「どこかで見た事があるような人だ」と思ったのは、薫君に似通っていたからでした。
    光君がハッと胸をとどろかせてよく見てみると、たいそう物思いに沈んで悩みありげな風情が他に似る者もなく思えて、顔の有様や華やかさは、ただもう薫君に違いないと思えます。
    「ずっと女の姿だった私の場合を考えると、薫君が私の女姿に似ておられても決しておかしくない」と光君は考えて、つと立ち寄って「どうしてまぁ、このようにしておられるのか」と女主人に聞いてみたいと思います。しかし、本当に薫君かどうかははっきりとは分からず、いい加減な事をして人に見咎められても困るので心を抑えてじっと見ていると、人の気配を感じたのか女主人は簾を下ろしてしまい、光君は例えようもなく悔しく思います。

    【解説とツッコミ】
    光君が偶然立ち寄った「宇治」の誰かの風雅な屋敷。賢明な読者諸君はもうお分かりですね。
    これぞ知らぬ間にお互いを引き寄せあう兄妹の絆のなせるわざなのか。しかしニアミスしながらも出会う事のできない二人。
    このすれ違いがじれったい。

     

    PR

    calendar

    S M T W T F S
       1234
    567891011
    12131415161718
    19202122232425
    262728293031 
    << January 2020 >>

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM