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    90.聞きにくき噂〜91.右大将と権中納言

    • 2015.02.08 Sunday
    • 21:43
    JUGEMテーマ:古典文学

    90.聞きにくき噂

    夜は明けましたが、宰相中将は四の君と別れて出発する気にもなれません。こっそりと人を呼んで、病気平癒の御祈祷を始めるよう熱心に命じたりして、四の君に添い続けています。侍女たちも「どうなることか」と困惑しながらも、四の君を救おうと必死な宰相中将を頼もしく感じてしまっているのも愚かしいことです。

    宰相中将は、宇治にいる薫君のところに落ち着いて滞在することもできずに、二人の女性関係に苦しんでいる自分自身を「どうしたことか」と我ながら不安に感じます。
    かといって性格的に、目の前で見ている四の君への愛情をふり捨てる事もできず、宇治にいる薫君へのお手紙だけを始終書いては、五日また六日と、四の君に付き添って泣く泣くお世話をしています。

    四の君は「これは良くない悲しい行為だ」と天の神の目も恐ろしく感じているものの、今さらもうどうしようもないというあきらめのままに、自分の命を運命に任せた風になっています。宰相中将にとって、そんな様子の四の君を見捨てるのは誠に哀れで辛く、少しもそばを離れないでいます。熱心に全く気をそらさず、心苦しげに四の君の看病をしている宰相中将の態度はこの上なく本気でした。

    世間では、薫君の失踪なさった事を朝廷でも権門の家々でも嘆き悲しんで、「宰相中将の密通が原因なのだ」と噂し騒いでいるので、宰相中将は他人と話しづらい状況でした。この噂を耳にしてお怒りになっている右大臣と鉢合わせになるのも面倒で具合が悪いので、宰相中将は世間をはばかる気持ちから出歩きもしません。

    【解説とツッコミ】
    浮気もバレたし四の君を見捨てて外に出ちゃうのも可哀相だしで、引きこもりモードに入ってしまった宰相中将。

    この人は薫君の父左大臣とタイプが良く似ていて、とにかく誰に対しても良い顔をしてしまう。特に、困っている人が目の前にいると、つい情が移って見捨てる事ができない。
    ある意味非常に善人なんだけど、でも、かといってじゃぁその人をずっと見捨てないかというとそうでもなくて、目の前に別の困っている人が現れるとフラフラとそっちにも良い顔をしてしまうわけで、結果として矛盾が生まれて周囲を大混乱させる事になる。
    でも、本人は全て善のつもりでやってるから悪意が無いし、態度は誠心誠意だから相手はつい、この人は誠実なんじゃないかと思ってしまう。非常にたちの悪い善人ですね。



    91.右大将と権中納言

    四の君にあれこれ病気平癒の祈祷をさせ、万事にお世話した上で泣く泣く別れを告げて、宰相中将がまた宇治にお帰りになってみると、こちらはたいそう人影も少なく、薫君もお腹をふっくらさせて身動きも不自由なふうでいます。
    多くの事に思いを馳せ、思案にくれては茫然と物思いに沈んでおられる薫君の様子は、「どうしてこの数日、離れて暮らしてしまったのか」と宰相中将が思ったのも当然というくらい気の毒なものでした。

    宰相中将はこちらでも涙で袖を濡らしつつ薫君を慰めながら、薫君に対しては常に誠実に、一切隠し事はしないと決めているので、四の君の様子などを分け隔てせずに薫君に語ったりしています。しかしその語る様子は、薫君にしてみたら、かえって四の君に対して浅からぬ愛情を抱いているとしか思えないのでした。

    宰相中将は一見、薫君の事を心から心配していて、思いやりが深そうな風にも見えますが、何やら落ち着かず、今にも四の君への手紙を書きたげな様子です。その様子は全く自分への愛情にも劣るまいと見えるので、薫君が「自分と四の君がこの男の妻として並び立っているのを人が見たら、さぞ自分がやつれて見えるだろう」と嫉妬するのも当然です。

    薫君は、かつては四の君の事など全く眼中にもなく、嫉妬など思いもよらなかったのに、女姿になった途端に宰相中将のこういう態度に今さら恨み事を言うのもふさわしくない気がして、見知らぬ風にしています。

    心中、「たとえ私をまたとない者と思って下さっているとしても、せっかく私が嫌々ながら女に戻ったというのに、かつて私が男だった時と同じ程度の思いの深さでは話になりません。まして、このように四の君と二人に心を分けているようではどうしようもない」などと薫君は思いますが、「いやいや、出産まではこの男に背いて距離を置くべきではない」と、さすがに長年男として暮らしてきただけに、男の心を汲んで穏やかな顔をしています。
    それを宰相中将は「全く理想的で結構で喜ばしい」と限りなく思い込んでいます。

    【解説とツッコミ】
    さっきまで四の君を見捨てられないとさんざんグダグダやってたのに、薫君の所に帰ったら一瞬で「どうしてこの数日離れて暮らしてしまったのか」と来たもんだ。いくら何でもクソすぎだろこの善人(笑)

    そして結果的に都合の良い女、薫君。
    元は男だっただけに男心もよく分かるし、宰相中将は理想的だと喜んでますが、その裏で薫君は内心「出産までは仕方ないから我慢して言う事に逆らわないようにしよう」と冷徹な計算をしています。

    そう。男が能天気に女を好き勝手している間に、女は常に牙を研いでいるんです。
    今すぐは男に勝てなくても、何年も待ち続けたワンチャンスで的確にブスリといけるよう心の準備はしているんです。
    男はこの点を常に頭に入れておかないと、いつか手痛い目に遭うと思います。

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