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    94.母との語らい

    • 2015.02.20 Friday
    • 23:02
    JUGEMテーマ:古典文学

    94.母との語らい

    自分までも黙って姿を消したなら、世間の評判もただ事では済まず、かといって父君に相談すると一層ショックを与えてしまうだろうから、光君は母上に心細げにこう相談しました。

    「薫君の行方が分かりませんが、私は兄弟の数も多くないので、それがたいそう心細く悲しいのはもちろんの事、父君がまったく悶死しかねない状態なのを、男の身を受けた私がぼんやりと眺めているだけというのが辛くてなりません。私が本来の男姿に戻って、薫君を懸命にお探し申し上げたいと思います」

    その様子はいつになく堂々としているので、母上は「これはどうしたことか」と仰天して、
    「いけません。どういうお心の変化か。女性の優美な姿になりきってしまわれた体で、どこをどうお探しになるのですか」
    と激しくお泣きになると、

    「ご心配はもっともです。でも、他の人が山々国々を探し求めるといっても、だいたいは空騒ぎしているばかりで、いかにも誠意というものが無いではありませんか。
    私たちは縁あって兄妹となったのでしょうから、その私が熱心に探せば、どうして見つけられないことがありましょう。むしろ、私が探しに行かないから見つからないのだと思います。

    探すのが全く困難であっても、このままでは我慢できません。別々に育った人とも思えず、情が深かった薫君の優しかったお心が尋常ではないほど恋しくて、耐え難い思いです。」

    とも言い切らぬうちに、涙をこらえきれなくなっていると、母上も同じ気持ちで泣いて

    「なんという事でしょうか。あなたがあれこれお考えになっている事も、誠にごもっともなので、あなたのお心にお任せしましょう」とおっしゃります。光君はそれをうれしく思って

    「私まで行方不明になったと世間の人が聞いたら、到底ありえない奇妙な事だと思われてしまう事でしょうが、いつも私は四、五人の侍女たちの他には会いませんから、いるかいないかの違いも分からないはずです。

    だから、私がいるような顔でいてください。父君にも、私が薫君を探しに出た事をしばらくはお聞かせなさいますな。父君が内裏に私をお訪ねしたいと言い出した時には、気分が悪くて静養していますと申し上げてください。決して、普段と違う気配を人に気取られませんように。

    父君は茫然自失の状態なので、いま屋敷のこちら側の建屋に来られる事はまずありません。また、薫君の母上がお住まいになっている反対側の建屋には出入りしておられる人が多いから、私がそちらの建屋に出かけてお目にかかることも今までほとんどなかったので、私がいるかいないかの事で怪しむ人はおりますまい。」
    といいます。


    【解説とツッコミ】
    うおおおお!
    ナヨナヨした恥ずかしがり屋だった今までの光君が、嘘のような凛々しさだ!熱い!
    男の子的にはたまらん胸アツ展開だ!

    さぁ待ってろよ妹!お兄ちゃんがいま助けに行くからな!

     

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